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教訓にどうぞ


人にはどれほどの土地がいるか −トルストイ民話集より

パホームはパシキールの村長に言った。 「わたくしが聞きましたには、こちらに商人がひとり来たということでございます。 あなたがたはその人に地面をおあげになって、登記証書をおつくりになったということですが、わたくしにもそうしていただきたいと思いますので。」

村長はいさい了承した。 「ええ、そんなことはみんなおやすいご用です、書記がおりますから街まで行って正式の手続きをいたしましょう。」

「それで、土地の値段はどのぐらいにしていただけましょうか。」とパホームは言った。

「わたしどもでは、値段は均一になっております、一日分千ルーブリです。」
パホームにはちょっとのみこめなかった。「と、申しますと、どういう測りかたなのでしょう。」

村長は言った、 「いつも一日いくらで売ってあげることにしているのです。つまり、買いたい人が一日歩いてまわっただけを売って差し上げるということです。 それで、一日千ルーブリということになるのです。」

パホームは驚いた。 「一日歩き回るとなると、ずいぶんな地面になると思いますが。」

村長はわらいだした。 「ええ、それが全部あなたのものになるのです。」と村長は言った。 「ただ、ひとつ条件があります。もし一日のうちに出発点まで帰ってこられないと、あなたはすべてふいになるのです。」


翌朝、パホームはシハンの丘から出発した。
《一分だって時間をむだにつぶしちゃならんぞ。少しでも涼しいうちに歩くほうが楽だろう。》

ふりかえってみると、丘はもうかすかになって、その上にいる人々がわずかにそれと見えるだけであった。

そろそろ曲がろうと思っていると、じきそこにしっとりと湿った窪地があった。 見捨てるのが惜しいくらいのところであった。 彼は考えた。 《あそこなら亜麻がよくできるだろう。》

そしてまたまっすぐに進んだ。

短評
典型的な負けパターンです。
腹八分目でも勝ち逃げを心がけましょう。ってえらそうに人に言えるわけではありませんが。(笑)

スペードの女王 −プーシキン(中村白葉訳)スペードの女王より

・・ゲルマンは伯爵夫人から3枚のカードの秘術を聞き出そうと懇願した。 しかし、伯爵夫人がだまっていたため、ピストルを向けて教えるよう脅迫した。 そのせいで伯爵夫人はショック死したようだった。

 たたられることを恐れたゲルマンは葬儀に出席し、棺の前にしばらくひれ伏した。 棺台の段をのぼり身をかがめた瞬間、死人があざけるように彼を見て片眼をしばたたいたように思われた。 ゲルマンは急いであとずさりしたはずみに足をふみはずして仰向けに下へころげ落ちた。

 伯爵夫人の葬儀の後、ゲルマンは習慣をやぶって珍しく大酒した。 その夜、ふと目が覚めたゲルマンは葬儀のことを考えていた。 玄関のドアをたたく音が聞こえた。扉が開いて白衣の女がすべるように入ってきた。 それは伯爵夫人であった。

 伯爵夫人は、「3」、「7」、「1」と続けて張ればお前の勝ちだと教えてくれた。 ただし、勝負はひと晩に1枚以上張ってはいけない、一生涯もう二度とカルタを手にしてはいけない。
また、養い子のリザヴェータを嫁にもらってくれるなら、わたしを殺した罪は赦すともいった。 ゲルマンはながいことわれに返ることができなかった。・・

短評
伯爵夫人のいったことは、「3」を張った時点でもう二度とカルタを手にしてはいけないというふうにも解釈できますが…
まあ、「4」、「6」、「8」だったら、ゲルマンは信じなかったでしょう(笑)

とりかえっこ −アファナーシェフ ロシア民話集より

 ある百姓が家畜小屋のふんを片付けているとき、一粒のからす麦をみつけた。 女房のところへもっていくと、女房は暖炉に火をいれたところだった。 百姓はこういった。
「なあ、かみさんや。ちょっとこっちをむいてくれ。かまどの火をかきおこして、このからす麦を焙るんだ。 かまどから出したらようく搗きくだき、細かい粉にしてゼリーをつくり、皿によそってもらいたいのだ。 そうしたらおれが王さまのところへそのそのゼリーの皿をもっていこう。 なあ、そうすれば、王さまはわしらに褒美をくださらんかな」

 さて百姓は王さまの前に出て、ゼリーを盛った皿を献上した。(続く)

短評
この話は、このあと王さまにもらったものをいろいろとりかえていくような展開になります。 日本民話のわらしべ長者はハッピーエンドですが、この話ははたしてどうか。
競輪などにたとえれば、全部のレースに手を出すのはヤリすぎという教訓ばなしとも読めます。 程々がよいようですが、程々ってどのくらいだ…